「墨 〜影を創るにくいやつ〜



墨は、煤(すす)と膠(にかわ)を混ぜてできます。
燃やしてできた煤の粒子を、しっかりつなぎとめるために
膠がカバーします。これに香料を混ぜて完成です
あのリラックスする香りはこれらの材料が混ざった香りなんですね。

墨という漢字は「黒」と「土」で構成されてますよね。
黒は煤という意味だとして土があるということは、
昔は土を混ぜていたのかもしれませんね。

様々な分け方があるのですが

1)松煙墨 vs 油煙墨 vs 洋墨
2)和墨  vs 唐墨
3)古墨 vs 新墨?
4)茶 vs 青 vs 赤?

が主な分け方です。

1)について

松煙墨はその名のとおり松を燃やしてできる煤から。
油煙墨は、菜種油、ごま油、桐油などを燃やします。

唐時代までは「松」が主流だったのですが、
宋時代には松が少なくなり「油」が主流となりました。
日本でも松は希少で、今では純粋な松煙墨はほとんどないと言われます。

洋墨とは、カーボン、重油などの鉱物油のことです。
安い固形墨とか、墨汁は洋墨がほとんどと言われます。

油系墨で擦ると油のように虹色にテカるのがわかりますよね。
洋墨は匂いもちょっと鉱物っぽい匂いがしますよね


2)について

唐と和ではサイズが違います。
唐墨は600グラムを一丁とし、
和墨は15グラムを一丁とします。
和墨では丁数が増えるほど大型になりますが
唐墨は逆です。

ちなみに和墨は今ではほとんどが三重県と奈良県で作られているそうです。
どっちがいいかは、人次第。


3)古墨について

日本では10〜20年 中国では30〜50年
が使い頃とされてます。
百年以上の墨でも質の高いものは使えますが
高価だし使うのってなんだか恐れ多いですよね

古墨は擦った後すぐに使わないと
そのらしさが出なくなります。

見る人が見ると古墨だなとすぐにわかるそうですが、
必ずしもよい色ではないそうです。


4)墨は黒?

本当に墨の世界は奥が深いです
同じ黒に見えても「茶」「青」があるのです。
淡墨(超濃墨を水で薄める)で書くと
色が判別しやすくなります。

青墨は松煙墨が時間が経つと深みを帯びて
青色っぽくなるからそう言われるようになりました。
ただ、最近は藍などを意図的に混ぜることが多いようです。

茶墨は油煙墨をものすごい高温で燃焼させてできるものです。


また 擦ったばかりの墨がよい!と言われる理由は「ブラウン運動」です。
つまり、墨の粒子が擦ったときの摩擦が起こすマイナス電気によって
均等に水にとけこむためにきれいな墨色になるのです。


とここまでダラダラと書いてきましたが
要は、墨を楽しむ!ということです。
自分で色々と試してみて楽しむことが一番です。

長く楽しんでると自分の世界で「こだわり」が生まれます。
そのこだわりを人におしつけることはよくないと思います。

しかし書道が今までの道を作りつづけたのは
まさに「こだわり」の積み重ねだったのでしょう。
今はそのこだわりさえなくなって、変な要素がからまってますが、
とにかく私が言いたいのは、自分の価値観で柔軟に楽しむ。

墨選びも同じことが言えると思います。






※メルマガ「簡単おもしろ書の歴史」より抜粋。
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タイトル:【 「書」を書く愉しみ 】 光文社新書より






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